<研究紹介>
先進加速器工学
応用レーザー工学
放射線医学物理
電磁シミュレーション


先進加速器工学

先進医療用小型加速器開発(詳細
単色X線の医学・生命科学応用を目的とした、高強度小型コンプトン散乱X線源の開発研究を進めています。本システムは小型化と大強度化のため、X- band(11.424GHz)マルチバンチ電子線形加速器を採用しているという特徴を持ち、高エネルギー加速器研究機構との共同研究を展開しています。 これまでにX-band熱陰極RF電子銃による世界初のビーム発生を実証しており、ビーム加速試験・コンプトン散乱X線発生試験を順次展開していきます。
非破壊検査用X band LINAC(詳細
X線を用いた非破壊検査は医療で用いられるX線撮影と同様の原理を工業用製品の検査に適用したものであり、工業産業分野やエネルギープラントなどに広く用いられている。
そこで上坂研究室では電子ビームエネルギー950 keVの9.4 GHz X-band Linacと250 kW Magnetronを用いた小型で可搬のX線非破壊検査装置の研究開発を行っている。
加速管の周波数を従来のS-band(2.856 GHz)ではなく、X-band(9.4 GHz)とすることで加速管自体を小型にすることが可能であり、RF源に出力の小さい250 kWのMagnetron (周波数9.3 GHz~9.5 GHz)を使用することで、冷却装置や電源が小型となる。これにより装置全体が小型になり、使用範囲が広がると考えられる。
 なお、本研究は高エネルギー加速器研究機構(KEK)の平成17 年度および平成18 年度の加速器科学支援事業における大学等連携支援事業(治療用小型加速器の開発の為の要素技術研究) と平成18年度経済産業省地域新生コンソーシアム研究開発事業「可搬型高エネルギーリニアックX線源の開発」として研究開発が進められている。
フォトカソードRF電子銃
光陰極型高周波電子銃(フォトカソードRFガン)は、ここ数年で実用化されてきている新しいタイプの電子銃で、次世代リニアコライダー、X線自由電子 レーザーおよびフェムト秒ライナック、レーザープラズマ加速電子源など様々な革新的加速器の入射器として注目を集めています。
カートリッジ式高量子効率フォトカソードRF電子銃(詳細
フォトカソードRF電子銃で実績のある中で最も量子効率(QE)が高いCs2Teを使用できるカートリッジ式のフォトカソードRF電子銃システムの構築 を行っています。この高QEカソードが使用できるシステムの導入により、パルスラジオリシス実験で必要とされる大電荷量電子ビームを安定的に供給すること が可能となります。また、カートリッジ式という特色を活かしてRF電子銃で使用できる新たなカソードの研究開発も行っていく予定です。
極短電子パルス計測
東大原施ライナックでは、超高速反応の解明を目的とした極短電子パルス生成に関する研究が行われています。それら超短電子パルスはその計測にも特別な技 術を必要とします。ここでは、ストリークカメラ、コヒーレント、インコヒーレント放射を利用した計測の研究が行われています。
応用レーザー工学

プラズマカソード(詳細
レーザープラズマ加速の一つであるレーザープラズマカソード(自己入射型レーザ航跡場加速)の研究を行っています。レーザープラズマカソードとは、従来のRF線形加速器とは異なる次世代の電子加速の手法です。
 パルス幅フェムト秒、出力テラワット以上の高強度超短レーザーパルスをプラズマ中に集光すると、レーザーパルスのもつ動重力 (ponderomotive force)によってプラズマ中の電子が振動し、レーザーパルス後方に航跡場と呼ばれる大振幅のプラズマ波が励起されます。レーザープラズマカソードでは この航跡場によって電子を相対論領域まで加速します。この加速方式では、航跡場が高電場(~100GV/m)・高周波数(~100THz)であるため、加 速器の小型化やフェムト秒の極短電子バンチの生成などが可能になると期待されており、特に医療用卓上型加速器への展開やフェムト秒の時間分解能をもつ時間 分解測定(パルスラジオリシス法など)の実現に有用であると期待されています。
超短パルスレーザーによるイオン発生
小型イオンシンクロトロンへの入射系として用いるためにレーザープラズマイオン源の開発を行っています。固体薄膜標的に大強度レーザーが入射すると、自 然放出光等のプリパルスによって標的表面にプリプラズマが生成します。そのプリプラズマにレーザーメインパルスが入射し、プラズマによるレーザーの吸収、 高エネルギー電子発生、帰還電流の発生、透過電子ビームのクーロン力によるイオン加速などが生じます。実験条件の最適化や効率的な加速機構の解明によって ~MeVレベルのエネルギーを持つイオンの生成を行います。
フェムト秒X線回折
12テラワット50フェムト秒チタンサファイアレーザーを固体ターゲットへ照射することによって、高輝度でパルス幅が数ピコ秒のレーザープラズマX線が 発生します。これまでに、ピコ秒時間分解X線回折法による半導体結晶中の原子の動きの観測可視化に成功しており、現在はタンパク質の動的構造解析や生体の 極短時間分解イメージングを目指した研究を行っています。
12TWレーザー
上記レーザープラズマの実験は全て東大原施12TWレーザーを用いて行なわれています。これはフェムト秒オシレーターとCPA(chirped pulse amplification)による増幅システム(ストレッチャー、再生増幅器、プリアンプ、メインアンプ×2、コンプレッサー)からなっており、基本的 には10ppsで運転されます。出力はコンプレッサー前で12~15W程度、コンプレッサーの効率が40~50%程度であるので、50fsで12TWの出 力が得られます。
放射線医学物理

X線DDS(詳細
ド ラッグデリバリー化抗がん剤とピンポイントX線の併用による、低侵襲がん治療法の確立に向けて研究開発を行っています。金や白金などの重元素を含むDDS (Drug Delivery System)薬剤を患部に集積させ、放射線を照射することで、従来は治療が困難であったすい臓がんや肝臓がんに対しても有効な治療方法となることが期待 されています。
抗がん剤としてはシスプラチンをナノミセルに封入したシスプラチンミセル、PEG等で装飾することで血中滞留性を高めた金コロイドを用い、現在生物実験・数値計算・物理化学実験を進めています。
電磁シミュレーション

磁性ナノ粒子DDSを用いたMRIにおけるがん推定シミュレーション(詳細)
高分子ナ ノミセルを用いたDDS(薬剤伝達システム)は、癌細胞のみに効果的に 薬剤を届けることができる手法である。本研究ではシミュレーションにより、ナノサイズの磁性粒子を高分子ナノミセルに内包してガン患部に凝集させた場合の MRI画像を解析し、磁性粒子によってがん患部周辺で発生する磁化率アーチファクト画像から、がんの位置と形状を逆推定する手法の開発を行っている。
肺がん放射線治療のための呼吸曲線時系列データの予測(詳細)
X線を用いたがんの放射線治療は、患者に対する非 侵襲性、負担軽減の観点から近年注目されている。肺がんは呼吸に伴うがん患部の移動が大きく、放射線治療を効果的に行うためには、がん患部の移動に合わせ た照射位置の制御が必要である。本研究で、がん患部位置の測定データ(呼吸曲線)から数秒先の位置を予測するシミュレーション手法の開発をSSA(Singular Spectrum Method)を用いて行っている。
電力貯蔵用超電導フライホイールの設計および評価(詳細
超電導フライホイールとは、宙に浮いて回転する特性(磁気浮上特性)を生かし、電力エネルギーを回転エネルギーに変換し貯蔵する装置で、夜間の余剰電力を蓄える装置としてや、落雷などによる瞬間的な電力低下を補償する装置(UPS: 無停電電源)としての利用が期待されています。
超電導フライホイールは宙に浮いて回転しているため摩擦が無いので、永久に回転していることが可能だと考えられますが、 実際には電磁気学的な現象により回転数が落ちます。当研究室ではこの効果をシミュレーションで予測し、システムの設計に役立てる研究を行ってきました。
脳磁図(MEG)計測データからの脳活動逆推定アルゴリズムの開発(詳細
脳磁図(MEG: MagnetoEncephaloGraphy)とは、脳の中を流れる神経電流の作る磁場を高感度の磁気センサで測定する装置です。磁気センサにはSQUIDを使用しfemto Teslaオーダーの磁場を測定することが可能です。
し かし、計測された磁場データから脳内の神経電流分布を求める問題は、ill-posed(条件、方程式の数より変数の数が多い)な問題なので厳密に解くこ とは出来ません。そこで、当研究室ではコンピュータを用いてできるだけ良い解を探索的に求める手法を開発する研究を行っています。具体的には、遺伝的アル ゴリズム(GA)やシフティングアパチャー法(SFA)を用いた解析を行っています。
磁場式バーチャルキーボードの開発(詳細
近年、PDA、携帯電話などの情報端末の小型化には目を見張るものがあります。しかし、小型化された本体サイズによって入力インターフェースのサイズも制限され、テンキーですべての入力作業をカバーするなど利便性に欠けているのが現状です。
そこで、小型情報端末向けの新しい入力インターフェースとして、永久磁石と磁場センサを用いた、端末のサイズに制限されずにフルサイズキーボードと同等な入力が行える磁場式バーチャルキーボードの開発を立ち上げました。