英語の"whistle blower"(ホィッスルブロア)すなわち「警笛を鳴らす人」を 日本語では普通「内部告発者」と言っている。 「内部告発者」には内部の情報を外部に密告する人という負のイメージが ホィッスルブロアよりずっと強い。 裏切り者という響きがあり、目的が正しくとも容認できないと考える人が多いのは 事実であろう。 欧米ではどうか。 欧米でもホィッスルブロアも必ずしも組織から歓迎される存在ではない。 しかし、組織が倫理にもとる行動をしているとき誰も警告をしなかったら、 社会に害を及ぼすばかりでなく、結局は組織自体のためにならないことの認識は、 残念ながら日本より欧諸国のほうが進んでいるようである。 このあたりが言葉の選定自体にも現れているというのは考えすぎであろうか。
「内部告発」としてしまうと、 組織外へ告発するという最後の手段をとった後のことだけに絞って考えることになる。 しかし内部告発の目的は組織の非倫理的行動の是正であり、 それが達成できるなら内部告発という手段をとらなくてすむ。 したがって、内部告発に踏切る前の、内部で警笛を鳴らしている状態まで含めて、 そのような人をどう処遇するか、 すなわちホィッスルブロアの取扱いという問題についてここでは整理する。
取組みとしては大きく3つに分かれよう。
第1は、 組織自体が構成員に警笛を吹く行為を奨励するというものである。 外部に告発されてしまうと組織は大きく傷つく。 その前に組織内で警笛を鳴らしてもらい、解決を図ろうとするものである。
第2は、 内部告発に踏切ったことで組織から不利な扱いをされた者を社会的に救済する というもので、法制度としての救済とはちょっと異なる。 すなわち組織外の団体が駆け込み寺の役割を果たし、再就職の斡旋や表彰などを行おう というものである。
第3は、 内部告発者保護法を制定し、法的に保護するとともに、報奨金も出して内部告 発を奨励しよう とするものである。
我が国でもそれぞれの取組みが進みつつあるようには感じられるが、まだまだ鈍いと言
わざるをえない。
ホィッスルブロアを裏切り者扱いする国には将来はないと言ったら言い過ぎだろうか。
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