学協会による内部告発者支援活動

専門職倫理の推進に関しては、学協会等の役割も考えるべきである。
日本でも弁護士については弁護士会の役割が大きい。 すなわち、弁護士会から懲戒により除名処分を受けると弁護士の資格を失うことが弁護 士法6条に規定されており、活動できなくなる。 このため、 日本弁護士連合会 では 弁護士倫理 について詳細に定めている。 日弁連が弁護士倫理推進の第一線に立っているということが良く理解できる。
医者は少し事情が異なる。 医師会は強制加入団体ではなく、除名されても医療活動を継続できる。 資格剥奪の権限は厚生労働省の医道審議会が持っている。
技術者については我が国では、建築士などごく一部を除いて、独占的特権を有する資格 とは見なされていないという問題がある。 このことは欧米でも大きな差はない。 プロフェッショナルエンジニアという資格を持っていないと、公共事業への参加には制 約があることが多いが、民間からの受注は多くの場合可能である。 それでも欧米では、技術者倫理の推進に関し学協会等が主導的役割を果たすべきである との主張が強い。 例えば「科学技術者の倫理−その考え方と事例」の著者、ハリスらもそう考えている。
方策としては確かにいくつか考えられる。 会員の非倫理的行動に制裁を科す方法は難しい。 弁護士と違って除名されてもその者は仕事上困らないという事情のほか、そのような団 体が裁判等に対応できるかという問題もある。 むしろ会員の倫理的行動を表彰するほうが効果的かもしれない。 しかし、内部告発で職を失った者にとって、紙切れをもらってもどれだけ意味があるか 疑問がある。 再就職の斡旋をしたほうがはるかに感謝される。 だが、実際問題として我が国の学協会等にその実力があるだろうか。
当面、学協会は技術者倫理に関する事例を集め、どのような対処法が倫理的かを示して いくという役割を果たすことが大切である。 実際の支援活動は 組織自体の取組みと法整備に任さざるをえないように思 う。

技術倫理のトップページへ