データはなぜ、どのようにして改ざんされたか

使用済燃料輸送容器とは、原子力発電所で発生した使用済燃料の 日本原燃(株)六ケ所再処理施設への輸送や 原子力発電所構内における輸送に用いられるものである。 輸送容器に用いられる中性子遮へい材(レジン)の充てん工事とレジン材料の供給を 輸送容器メーカから請け負った原電工事(株)は、 レジンの原材料の小分け作業及び分析を日本油脂(株)に発注した。 そして日本油脂(株)は、ホウ素及び水素の化学分析を分析会社に発注している。

平成7年10月から輸送容器メーカがモックアップ試験を行なうことになっていた。 原電工事(株)の担当課長が 「材料証明書用のサンプルを分析したかどうか」日本油脂(株)に問い合わせたところ、 まだ分析していなかったため、早急に分析を行うよう指示した。 その後、日本油脂(株)から原電工事(株)に対し、 分析がモックアップ試験に間に合わないとの連絡があった。 そこで、両者で打合せを行った結果、 日本油脂(株)がロットA及びBの材料証明書の数値を記入し、 原電工事(株)に提出した。
原電工事(株)の担当課長は、 「それ以前に実施した社内での試験結果があるのでそれを利用できる」 との提案を日本油脂(株)から受けたとしている。 同時に、同課長は 「モックアップ試験のロットは社内試験のロットと同じものであるので、 問題ないもの」と認識していた。 一方、日本油脂(株)は、原電工事(株)にそれまでの試験結果を提出しているものの、 ロットA及びBの材料証明書に記載すべき数値については、 原電工事(株)より指示があったとしている。
さらに、モックアップから切り出したサンプルの分析値のうち、 ホウ素濃度又は水素濃度が材料仕様値を下回っているとの連絡 及びその処置についての問合せが日本油脂(株)から原電工事(株)にあり、 両者で打合せを行った。 原電工事(株)の担当課長は、分析方法が悪いと思い、 輸送容器メーカの工程に間に合わないので、 日本油脂(株)に具体的な数値を示して数値の書換えを指示し、 原電工事(株)は輸送容器メーカに書き換えられた数値が記載された分析結果報告書を 提出した。

その後、ロットCからYについても日本油脂(株)は、 原電工事(株)から「材料証明書がなければ充てん工事が開始できず、 また材料仕様値に入るように何とかしてくれ」と依頼されたことから、 数値の書換え等をしてほしいとの指示と理解し、 材料証明書の数値書換え等を行った。
原電工事(株)は、平成8年9月初旬、日本油脂(株)に対し、 ロットTの材料証明書のボロン含有率の値について、 0.0194で合格だが四捨五入されて合格していると輸送容器メーカに思われることから、 切り上げて0.0195にしてくれと口頭で伝え、 日本油脂(株)に数値を書き換えてもらった。 その後、原電工事(株)は、同年9月中旬に、日本油脂(株)からの依頼に基づき、 「0.0195で合格になります。注意して下さい。」 との趣旨の文書を日本油脂(株)へ提出した。
原電工事(株)の担当課長はロットIからWまでのデータに関し 「日本油脂(株)に対し検査日時等の日付の訂正は指示したが、 分析結果についての指示はしていない」としている。 また平成8年11月頃、 日本油脂(株)から材料仕様値を下回る材料証明書が出てくる旨の連絡を受け、 日本油脂(株)がこれまでの材料証明書のデータを改ざんしていると初めて認識し、 分析会社の分析結果を取り寄せ、データ改ざんの事実を確認したとしている。

上記連絡の後、平成8年12月に、その後のロットAAからADについて、 日本油脂(株)は原電工事(株)からの書換えの指示を拒絶し、 材料仕様値を下回る材料証明書を原電工事(株)に提出した。 このため、原電工事(株)の担当課長自らが材料証明書の数値の書換えを行った。
日本油脂(株)はロットAAからADについて数値の書換えをせずに 原電工事(株)に材料証明書を提出していたものの、 ロットAMからAQの材料証明書については 日本油脂(株)が自ら数値の書換えを行った。
原電工事(株)の担当課長はデータ改ざんの動機について 「レジン充てん工事の準備に時間もかかり、工事を遅らせられない」 という意識が前提になっていたとしている。 また、充てん工事が重なると、ますます工事を優先することになったとしている。 なお、原電工事(株)の担当課長は、データの改ざんについて、 担当部長と相談を行っていないとしている。
日本油脂(株)の担当課長はデータ改ざんの動機について 「材料仕様値に対する認識の甘さがあり、 材料仕様値の値を下回った場合の対応策を考えておらず、 発注元からの指示に従うこととなった」としている。 なお、日本油脂(株)の担当課長は、データの改ざんについて、 担当部長と相談を行っていないとしている。

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