AAケミカル事例の補足
この事例は、責任にはいろいろなレベルがあるということを理解しやすいよう、
かなり単純化してある。
実際には、環境への苛性ソーダの放出などというあってはならない事故を防ぐため、
何重もの対策がしてある。
バルブが開けっ放しでは運転できないように、バルブ自体を
事例にも出てくるようなバネ式にしたり、
バルブが閉じられているという信号がこないとポンプが作動しないように
インターロックが設けられたりする。
これらはハードウェアとしての対応である。
さらに、作業員が過失を犯さないよう管理する仕組み、
すなわちソフトウェアの対応もなされる。
例えば作業手順書(マニュアル)を整備し、チェックシートにより
作業の抜け落ちや誤操作を極力減らすようにする。
作業がきちんと行われたかチェックする仕組みも作られる。
さらには重要な作業については事業者が独自に資格制度を設け、
その合格者にだけ作業を許したりする。
基本的にはこのような事故防止対策は事業者が自主的に行うべきものであるが、
地方自治体や国によって検査がなされたり、資格制度が整備されたりもする。
したがって、万一事故が発生した場合、その原因を単にモラルの問題だとして
片付けてはならない。
ハードウェアとソフトウェア、事業者自身ないし地方自治体や国も
入った制度、その他いろいろな事故に関係する要因を洗い出し、
問題点を見つけなければならない。
作業員にプレッシャーが掛かりすぎる状況ではミスが増えるので、
それを減らす手立ても考えなければならない。
このための手段として、ヒューマンファクタ研究その他がある。また、マネジメントをいかによいものとするかは管理工学などの研究分野である。
事故の防止はモラルだけによって達成できるものでないことは決して忘れてはならない。
しかし同時に、この事例からも分かるように、事故を防止しようという
高い使命感、モラルがなければ、ヒューマンファクタ研究などの成果も
活かされることはない。
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